朝5時に目が覚めた。まだ外は暗い。カミーノでは一貫して目覚ましは使わなかった。決まった起床時間があるわけでもなく、アルベルゲは共同部屋なので他人の気配で起きるだろうと思ったから。

目覚ましのけたたましい音で他に寝ている巡礼者に迷惑をかけるのは厳禁!iPhoneのバイブ目覚ましで早起きして出る人も多かったが、私は遅すぎなければ自由に起きようと決めていた。巡礼生活のリズムが出来ると、自然と目を覚ました。

この朝はベットでまだゴロゴロしていたが、5時半に起きる。耳栓をしていたのでぐっすり眠れた。というか、ピレネー越えで疲れていたのかも。まだ早いと思っていたが、ほとんどの人はすでに起きて用意しているところだった。その様子をみて少し焦る。中にはそんなに早く出発せずゆっくり出ようと寝ている人もいるが、私は歩くのがまだ慣れなく、他の人より遅いので早めの行動を心がけていた。

ヘッドライトで他の人が眩しくないよう手元を照らし、寝袋をしまう。外に洗濯物をとりこみに行ったら真っ暗な中でも残っていたのは私のモノだけだった。靴下が片一方なくて「えっ!」と慌てる。限られた荷物でやりくりしているので無くなると困る・・・。普通の黒い靴下なので間違って持っていかれたのかな?と思ったが、探すと地面に落ちていた。どうやら風が強くて飛んでしまっていたらしい。

急いで荷物をザックに詰めて準備をした。トレッキングシューズは、少し大きめのサイズにして二枚靴下を履くと歩きやすと知っていたので、そのようにしていた。だけど今朝は慌てていたせいで、靴下は1枚しか履いていなかった。(これが後で泣きを見る・・・)この日は、靴が少しゴソゴソの状態で歩いていた。

暗がりの中、林の道。街灯は一切なし。

前を歩いていた韓国人の女性二人をぬかした。こんな暗い道を行くなんて・・・と思っていたら、西洋人の女性が一人で歩いていたので、思わず声をかけた。「一人で歩いているの?暗いので一緒に行ってもいい?」彼女も同じように感じていたみたいで、「ぜひ一緒に!」と意気投合。北アイルランドからやて来た20代女性ヘレン。前の仕事を辞めて、時間があるのでカミーノを歩こうと思ったそう。

人がいるとなんとも心強い。暗い林の中を通りぬけると、住宅地に出た。ここから先の標識が分かりにくく、前を一人で歩いていた男性の後を私達はなんとなく追う。それでもこっちの方向でいいのか分からないね、とヘレンと話しながら歩く。すると私達の後にも巡礼者がぞくぞくと後を追っていた。

車の標識らしきところでどっちだろうかといちばん先頭を歩いていた男性が止まったので、皆が合流。先頭の男性に「あなたに皆んな付いてきていたのよ」と冗談めかしに言うと、「うそだろ!!」と動揺された。いや、責任感じなくていいですから・・・。

きっとこっちだろうと皆の直観で進んでいったら、カミーノサインを発見。たまに脇道へ入ってしまうこともあるけど、地図を見ながらルートを辿っていくとカミーノへ自然と入るので、それほど心配することはない。

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だんだんと峠へと入っていく。

昨日はピレネーを越えてきたので、体がまだ疲れている。「足は大丈夫?」とヘレンに聞かれたが、私の足は問題ない。ヘレンは靴ずれができてバンソコウを貼っているとのこと。私は足よりも、ザックの重みが肩にくいこんで痛いと訴えた。歩く辛さより、荷物の重さーーー。この3日間、そういえばずっと重さの事を考えている・・・。だけど結論は、どれも必要なものばかり。

大きめの石がゴロゴロで歩きにくい山の登り道。かなり大変。自転車で越えようとしている巡礼者は、汗を流しながら押して登っていく。私はというと、休み休みの亀の歩み。きり株に腰をおろしながら休憩し、一息ついてまた登るの繰り返し。山登りでは、休むとかえってペースが落ちてまた歩くのに疲れてしまう為、ゆっくり行くのがいいようだけど、無理~!

道の途中で休んでいると皆に「大丈夫?」と声をかけられる。「大丈夫です」と返すが、かなりバテテいる。ヘレンは私に付き合って一緒に歩いてくれてたが、やはり二人のペースは違う。私はまた、「私は遅いので、マイペースで行くので先に行ってください」とお願いした。

ヘレンが「分かったわ、ここまでありがとう。握手してちょうだい」と手を握り合って、「次の町で会おうね」と約束をしていったん別れた。

人生に例えられるカミーノの道。生まれてから(スタートしてから)まだ体のリズムができていない私。
巡礼者、それぞれのスピードで人生をゆく。